-
製品の用途によって、材料を選びます。
一般的に歯車によく使われる材料は、S45C、SCM435、SCM440等です。大歯車(ギア)と小歯車(ピニオン)に同じ材料を使うと、使用中になじんでしまい、焼付きを起こすことがあるので、材質を変えるか硬度を変えるのが一般的です。
主に製鋼所が作る6000mmの定尺の丸棒を切断して使用します。 -
小さい製品や、歯部のみに硬度が欲しい場合は素材のまま調質処理を行いますが、歯車の母材自体にある程度の強度が欲しい場合は、荒旋盤加工で外径や穴径を仕上寸法から数ミリ程度残した状態で調質処理を行います。
-
製品を硬くする為には焼入焼戻しを行いますが、その際に歪みがでてしまいます。
それを極力抑える為に、加工前に一度焼入れを行いゆっくり冷ますことを調質といい、これを行うことにより鉄内部の組織のムラが少なくなります。
品質の高い製品を作る際には必須です。
その名の通り、材料の質を整える処理です。
-
ここで初めて歯切り部以外の寸法を仕上げますが、歯面を焼入れする際に、穴に歪みが出る恐れがあるため、穴径だけは仕上げずに残しておきます。
穴を研磨で仕上げる場合は0.3mm程度、旋盤で仕上げる場合は1ミリ程度仕上げ代を残す -
やっと当社受け持ちの歯切り加工です。
この段階で仕上げてしまう品がほとんどですが、今回は歯を研磨で仕上げるので、仕上げる取代分、わざと歯を肥やした「研磨下歯切り」を行います。
研磨下専門の歯加工します。この後の焼入れで歪みが出ることも考慮して、マタギ歯厚で0.2~0.3mmほど残しております。 -
次は高周波焼入れです。
刀を作る時の様に、鉄は高温にして急に冷ますと硬くなる性質をもっています。
その性質を利用して歯の硬度(強度)を上げて、歯車の減りや疲れを軽減させます。電子レンジのような要領で、分子を振動させて急激に加熱します。
周りに付いているのはスケールといって冷却油のカスです。 -
歪み取り様に残した穴を、旋盤もしくは研磨で取って、穴を仕上げます。
歯研は穴を基準に行いますが、端面にも歪みが出ている場合もあるため、穴と共に片側の端面も研磨して、そこを基準に歯研すると素晴らしい製品が出来上がります。
外径の一部を研磨してそこを基準にする方法もあります。
この写真は穴のみ旋盤仕上げです。 -
穴にキー溝を切ります。
組み立てる際にはこの歯車が入る軸にもキー溝を加工して、スッピルと呼ばれる棒を軸のキー溝に嵌め込んでから歯車を挿入することで、軸と歯車を一体化します。
キー溝の幅と深さはJIS規格によって定められています。 -
刃物ではなく、砥石にて歯面を仕上げる加工です。高精度で見た目も美しくなります。
歯研にはナイルス式、ライスハウァ―式、マーグ式と主に3種類あります。それぞれ特徴があり、研磨下歯切りのやり方も変わるため注意が必要です。
一般的には1~2級の精度ですが、最近では0級を出せる加工屋さんも存在します。
写真は外径研磨をしてませんが、研磨すればぴっかぴかの歯車になります。
お客様の使用用途によってさまざまなパターンがあります。 -
上記はSCM440を調質して高周波焼入れしましたが、他にもSCM420を焼均しして浸炭焼入れを施すパターンもあります。
また、内径を研磨仕上げする場合ならキー加工を先にしたり、外径研磨までは要らないがもう少し全体の見栄えをきれいにするために、焼入れ後にショットブラストを当てたり…
歯車を作ると言っても、方法も工程も様々ですので、一度ご相談ください。